マリアージュの国、フランスのおいしい食卓

フランスで見つけたおいしいマリアージュのレシピで作って食べての覚え書き。それからフランスの主にテーブルまわりのあれこれ走り書き。

エルダーベリーシロップとプチ・スイス

夏をまるまる日本で過ごしてきました。三年ぶりです。
その間、ブログは遠く離れた存在に… そして八月末にフランスの家に戻ってきたら。
エルダーの木に実がわんさかなっていて、しかも日が経ち過ぎてしぼみ始めているものも。
これは急がねばなりません。

それなのに年度初めというものは何かと忙しない。
しかも原因不明の発熱に襲われたり。
いちおう、コロナ某ではありませんでしたが、いやあエネルギーを吸い取られました。

そうこうしているうちに満月の日が近くなって。
あ、満月の日に実を摘めばちょうどいいやと思い直しました。

(いとも簡単にぽろぽろと小枝からこぼれ落ちるエルダーベリー。実が落ちた後の小枝はサンゴのような美しい形)

我が家のエルダーは、いつの間にか庭に生えたもの。
初めはひょっこり緑の細い草とも枝ともつかないものが地面から出ているのに気がついて、それを放っておいたらあれよあれよという間に枝分かれして、枝の下の方は茶色い幹となり、ぐんぐん背丈を伸ばして今ではなんと4~5メートルの高さに。
こんなエルダーの木が2本あり、そして今3本目が隣にそびえる大きな杉の木に挑戦するかのように伸び続けています。もうすぐ杉の葉にぶつかって頭打ちになってしまうのでは… と心配していますが、そこを生命力の強いエルダーがどう切り抜けるのか、楽しみに見守っています。
それにしてもこのエルダーは天からの贈り物。体に良い効果をもたらす花や実をつける木が勝手に生えてくるんですからね。ありがたいとしか言いようがありません。

さて、エルダーシロップ作りです。乾燥させた実を材料にするレシピが多い中、生の実を使ったレシピをイギリスの霧立灯さんがご自身のブログで紹介してくださっていたので、去年からそちらを参考に作っています。
エルダーの実はざっと洗って実を枝から落とし、ひたひたの水とスライスした生姜を入れたお鍋で煮ていきます。10分ほど煮たら汁をこして、お砂糖とシナモンを加えさらに5分煮たらできあがり。

なんて簡単。でもとてもおいしいんです。しかもエルダーベリーはポリフェノール、ビタミンA、ビタミンCの宝庫ときています。

わたしはこのシロップをヨーグルトや、上の写真のようにプチ・スイス(Petit Suisse)にかけていただくのがお気に入りです。
プチ・スイスは名前にこそスイスの名があるものの、れっきとしたフランスはノルマンディー生まれのフレッシュチーズです。
ではどうしてスイスという名がついているのでしょう。それはノルマンディーで働いていたスイス出身の牛飼いさんが、農場の女主人にチーズの製作過程でクリーム(牛乳の上層に集まる脂肪分)を加えてはどうかと提案したからなのだとか。

というわけでこのプチ・スイス、ものによって脂肪分40%または60%の濃厚チーズなのです。
食感はもったり、でも味は意外にもしつこくなくて、なんとなく甘くないレアチーズケーキを思わせなくもないのです。
わたしはよくプッチンプリンのようにプチ・スイスを容器からお皿に出して、上からフルーツソースやジャムをかけていただくのがお気に入り。超お手軽だけど、ちゃんとデザートを食べたという気にさせてくれます。
お値段もお手頃で、6個1パックがだいたい1.4ユーロ程度。我が家はたいていさらにお得な12個パック(およそ2ユーロ)を購入しています。

こちらは(おまけの、我が家の猫のお友達くん。エルダーの写真を撮っていたら、壁づたいにお散歩してました)