先日、日本からの客人とパリへ。
「シャンゼリゼ通りでランチかお茶を」とのリクエストがあったので、ピエール・エルメとロクシタンのコラボ店、「86Champs」へ。
考えてみればシャンゼリゼでお茶なんて、初めてのわたし。
メニューを見て、はっ!
これはあの… バラのマカロンではありませんか。
ピンク色のバラの風味のマカロンに、バラのクリームとライチ、フランボワーズ(やっぱりフランス菓子には「ラズベリー」より「フランボワーズ」と呼んだ方がしっくり来ます)を挟んだあれ。
マカロンの上には深紅の花びらが一枚、そしてその上には朝露のような雫が乗った、あれ。
メニューには他にもいろいろおいしそうなお菓子が並んでいたけれど、一瞬も迷わずにこれをいただくことに決めました。
それだけ、特別な存在なのです。
初めてこのマカロンに出会ったのは、わたしが暮らすこの小さな町で一番と名高いパティスリー。
マカロンに乗った花びらが目に留まって、どんなお菓子かお店のマダムに尋ねました。
そして、バラ、ライチ、フランボワーズという組み合わせを聞いて目がハートに。
さらにそのマカロンを一口口にした時の幸福感と言ったら。ああ。
それにしても、この「86Champs」でわたしは初めてこの素晴らしきマカロンの名前を知りました。
というのも、地元のパティスリーでは名前も気にせず、とにかく「ローズのマカロン」と言って注文していたので。
果たして名前は「Ispahan」。
一体どんな意味なのか、まったく見当がつきませんでした。
帰宅してから調べてみると、それは中東の国、イランにある古都の名前なのでした。
日本語では「エスファハーン」。または「イスファハン」、「イスファハーン」とも。
ウィキペディアによれば、別名「イランの真珠」とも呼ばれる美しい町なのだそうです。
そして、同じ名前のバラがあることを知りました。
バラの方は「イスファハン」という表記。
透明感のあるピンク色の花びらが幾層にも重なるダマスクローズの一種でした。
写真を見ると、いかにも深くて香しい香りが漂ってきそう。
そうかあ、そういう名前だったんですね。
それからもう一つ、ネットで調べて知ったこと。
それは、このマカロンを生み出したのは他でもないピエール・エルメだということ。
そうだったのか。知らずしてオリジナル版をいただいていたのですね、わたし。
今もまだ、なんとなくだけれど、その時の味を覚えている。
だから今のうちに、また地元のパティスリーでこのマカロンを買って、時間差食べ比べをしてみようかな。
それにしても、こんなマリアージュを生んでくれたピエール・エルメに、敬礼。
ちなみに、お食事の方は季節らしいキノコのリゾットを。
重すぎず、キノコの風味が生きていてとても美味しかったです。
お花が飾られているところはロクシタンのイメージにもつながるな、なんて思ったり。