マリアージュの国、フランスのおいしい食卓

フランスで見つけたおいしいマリアージュのレシピで作って食べての覚え書き。それからフランスの主にテーブルまわりのあれこれ走り書き。

フランスの地理と歴史とバーベキュー。

日が沈み始めた夜の8時40分。男3人が火を起こす。
ところで実際よりずっと広く見える庭。カメラレンズはとんだ演出家にもなる。

 

どこからともなく漂ってくるバーベキューの炭の匂いは、夏の風物詩。

そんな匂いがしてくるのも、今月中くらいかな。

昨夜は毎週水曜夜恒例、夫の友人二人との会食。

もうすぐ終わりがやってくる太陽の季節を惜しむように、庭でバーベキューでした。

 

屋内だろうが屋外だろうが、会食はいつものようにアペロから。

この会食でのアペロの定番、ティ・ポンシュを口にすると、フランスに戻ってきたのだなあと実感する。

ラム酒さとうきびのシロップ、ライムを絞ったティ・ポンシュ

このティ・ポンシュ(アルファベットで書くとTi-punch、"Ti" は "petit[小さい]" の略、「ポンシュ」は日本語で言う「パンチ」のフランス語読み)の生まれはカリブ海

 

ウィキペディアによれば、1848年にかつてフランスの植民地だったカリブ海の小さな島、マリー・ガラント島奴隷解放を記念して飲まれたのがこのカクテルなのだそうです。

カリブ海に浮かぶ元植民地で生まれたカクテル、というところまでは知っていましたが、そんな背景があったとは…。

 

 

それまで奴隷として働かされていた人々が、自分たちの育てたさとうきびを使ったお酒でその日を祝福したのですよね。

こんなに想いの詰まったカクテルだったんだなあ。

 

さて、子どもはもちろんお酒ではなく。

日本でも販売されているオランジーナ。

7月に開催されたツール・ド・フランスの図柄が入った缶でした。

 

 

今宵のバーベキューはプロヴァンス風の豚肉とメキシコ風の鶏肉、そしてメルゲーズ。

お肉の隙間を狙ってマグレブのソーセージ、メルゲーズを投入。

メルゲーズはマグレブと呼ばれる北アフリカの地域で生まれたソーセージ。

牛肉か羊肉、またはその合い挽き肉で作られます。

特徴的なのは混ぜ込まれる香辛料で、チリパウダーやパプリカ、クミン、ハリッサなどなど、いかにも北アフリカっぽい味ですが、フランスには1950年代に北アフリカからやってきた移民によって持ち込まれたそうです。

今ではフランスのバーベキューには欠かせない食材になっています。

 

バーベキューのお肉に添えたのはタブレ。

 パセリやミント、玉ねぎ、トマトなどとひきわり小麦(というのでしょうか)を和えた料理ですが、戻した干しブドウを入れることもよくあります。

この干しブドウの甘味とパセリやミントの爽やかさ、味つけに使われるレモンのさっぱりした味が相まってとてもおいしいのです。

 

そしてこちらの故郷はレバント という、またまた歴史上フランスが大きく関わった地域。かつてフランス委任統治領シリアとされた地域と被るのです。

 

もうすっかり日が暮れて。そのおかげでメルゲーズの焦げに気づかず食べられた。

 

楽しい食卓に並ぶお酒や料理から、フランスの地理や歴史が垣間見えた夜でした。

今度これらを口にするときには、ふっと思いを馳せてしまいそう。

 

 

おまけ。猫もいっしょにペロリ。