2023年も早三週間が過ぎようとしている。
一度始まってしまえば、あっという間に月日が過ぎていくのが一年。
だもの去年のクリスマスの話など早く終わらせた方がよい。
去年のクリスマスは義妹が暮らすロンドン郊外で過ごしたが、クリスマス当日のテーブルはフランス風。
フランスを離れて暮らす義妹のため、夫はフランスで言うクリスマス、ノエルの食事を再現してあげたかった。
だからいろいろな食材を保冷バッグに詰め込んで、車の中もなるべく暖かくし過ぎないように気をつけて運んだのだった。
一概には言えないが、フランスでクリスマスなど人が集まって食事をするときはお昼に始めることが多い。そして終わるのが夕方。
食前酒をいただきながら話に花を咲かせるフランス人が大好きな時間、アペリティフあるいはアペロの次はテーブルへ。
クリスマスの食事の前菜としては三大定番食材があって、それはスモークサーモン、フォワグラ、そしてコキーユ・サンジャック、ほたて貝だ。
ちなみにフランスのスモークサーモン消費量はヨーロッパ一なのだとか。
ほたて貝の調理法として一番ポピュラーなのが、写真のようなほたての貝殻を器に使ったグラタン。「ブルターニュ風」と名前につくレシピもある。
貝殻の中にはほたて貝、エシャロットや玉ねぎと白ワインソース。そこにマッシュルームが入ったり、にんにくやパセリが入ったり。
実は写真のものは冷凍もの。いくつものメーカーが発売していて味もピンキリだけれど、今回のこれはとてもおいしかった。
メインはこれもフランスから持って行ったシャポン鶏のロースト。
シャポンは去勢した雄鶏で、肉質が柔らかく可食部分が大きい。
「ローストビーフ? ノエルにはシャポン!」と張り切った夫がこれもフランスから持参の詰め物を入れて焼き上げたのだった。
もちろんシャポンはとてもおいしかったのだけれど、個人的にはそのつけ合わせの根菜のオーブン焼きが滋味深くてとても気に入った。
人参、かぶ、パネ(英語ではパースニップ)をにんにくとオリーブオイルでシンプルにオーブンで焼いたもの。
ホリデーシーズンのお腹には、こういうものがとてもありがたく感じたりして… とは贅沢な物言い。
けれど本当においしかった。
お皿の上にはイギリスのヨークシャープディングとグレービーソースを添えて。
これはイギリス暮らしの姪のご所望。
正直なところを言うと、アメリカに住んでいた頃からグレービーソースのおいしさがいまいちよくわからないのだが、それでも初めていただいたヨークシャープディングに心躍らされてなんだかおいしくぺろり。
デザートはビュッシュ・ド・ノエル。
今は亡き義母の手書きのレシピを見ながら、前日義妹とわたしが一緒に作ったもの。
こってりしたバタークリームが、昭和の子どものわたしにはとても懐かしい。
外側はチョコ、内側のロール部分にはコーヒー風味のバタークリーム。
ビターチョコは苦手、コーヒー風味など食べたこともない娘がぱくぱく食べていたのだから不思議だ。
繋げていきたい、家族の味。
これでいい加減、クリスマスの話はおしまい。