もうこれで終わりにすると言いながら、のイギリス話。
今回の旅行の自分みやげとして、ニューヨーク風のベーグル、そして名物「ホットクロスバン」なるパンを買ってきた。
名前も、それにちなんだ英語童謡も知っていたけれど、未だ食べたことのなかった憧れパン。
フランスに戻ってから毎朝それを食べていたのだが、その香りを嗅いで顔をしかめたのは夫。
「シナモンの香りきつ過ぎ…。」と呟きながら。
考えてみれば、フランスにももちろんシナモンは存在するし、お菓子や料理にも使われるけれど、それはほんのわずかな量であることが多い。
だからこのホットクロスバンや、それこそ名前にその名が入るシナモンロールの類はフランスでは見当たらない。
でもイギリスでは人気だよね、がっつりと効いたこのシナモン感。
そしてレーズンやカラントとの組み合わせも。
そういえばアメリカでも人気だけれど、この「シナモンレーズン」の組み合わせはイギリスとアメリカとどちらで先に登場したのだろう。
あるいは他の国?
いずれにしても、かつての宗主国イギリスと植民地であったアメリカの一般的な味の好みが似ているというのはとても興味深いことだと思う。
例えば、ジュースでよく見るストロベリー&キウイの組み合わせ。
イギリスとアメリカ双方で人気があるけれど、これもフランスでは見かけない。
もちろんざくっと味の好みの一般化はできないけれど、それぞれの国の人々の好みの傾向というのは確実にある。
何がどうなってそういう傾向が生まれるのか。
その土地で採れる食材、脈々と受け継がれた料理法や貿易の歴史やら、いろいろなものが絡んでいるのだろうと想像するけれど、これだけ輸入物が手に入りやすくなった現代でも変わらずその好みの傾向が存在するのが面白い。と思う。
もひとつおまけにイギリスもので、マーマレード。
これ、イギリスでは伝統的にとても人気があるけれど、フランスではいまいちだ。
そもそも、柑橘系のジャムというのが他の果物のものと比べて人気薄の印象。
先日、あるフランス人女性とジャムの話になり、マーマレードは好きか尋ねてみたところ、うっと顔をしかめたので内心、やっぱりか、と思ったのだった。
彼女いわく、ジャムを食べるのは朝食のときが多いけれど、朝に酸っぱいものは食べたくない。マーマレードはヨーグルトに混ぜて食べるならありかな、ということで。
フランスの朝食は十中八九甘いもの。やさしく一日を始めたい。
そこにマーマレードやこれもイギリス名物のレモンカードなどではパンチが効きすぎる、というわけか。
たしかに、以前フランス人の親戚が我が家に泊まりに来た日の翌朝、柑橘系ジャムとその他のジャムと3つくらいお出ししたのだが、柑橘系には誰も手をつけていなかったっけ。
その時はその人たちの好みなのかなと思っていたけれど、おそらくこれは一般化しても大丈夫そうな気配。
わたし自身は柑橘系のジャムやマーマレードが大好きなので、今回イギリスでマーマレードと(砂糖が一番少ないものを選んだらスペインのものだった)レモンカードを買ってほくほく。
ところでわたしがフランスに来て感じたこちらの人々の好みの食材、あるいはお菓子の風味3つ。
それはラズベリー、ココナッツとヘーゼルナッツ。
この3つはいろいろなタイプのお菓子でよく使われていて、ああ、すごく好かれているんだなあ、と思った記憶がある。
日本ではグレープ味のお菓子が多いけれど、これも好みなのかしらん。