マリアージュの国、フランスのおいしい食卓

フランスで見つけたおいしいマリアージュのレシピで作って食べての覚え書き。それからフランスの主にテーブルまわりのあれこれ走り書き。

太陽のクレープ、大地のガレット

二月二日はシャンドラー(la Chandeleur、シャンドルールという表記も)、日本語では聖燭祭とも呼ばれるキリスト教の祝日です。その起源は古代ローマ時代の神、パーンを松明の灯とともに祭ったことにあるようですが、フランスではこの日、クレープを食べるのが古くからの習わしです。

その理由の一つは、その丸い形と黄金色が太陽の再来を思わせるから。ヨーロッパの大部分では、冬は太陽とのしばしのお別れを意味します。それがこの時季、じわじわと太陽の光に力強さを感じ始めるのです。この祝日はいみじくも節分と時を重ね、洋の東西を問わず陽光の再来を感じさせる行事になっています。

さて、我が家でクレープを焼くのはもっぱらフランス人の夫。その夫の意向で、今年はクレープに加えガレットも焼くことになりました。ということで、塩気をきかせたメインにはガレット、そして甘いデザートにはクレープを、ということに。
ガレットの具材は冷蔵庫にあるあり合わせ。鶏胸肉(Blanc de Poulet)、マッシュルーム(champignon de Paris)、わけぎに似たシブール(Ciboule)です。生クリーム(crème fraîche)がベースのまろやかな味わいに、シブールの控えめな辛味が良いアクセントになっていました。

(いつもはクレープやガレットの中に入れることが多い目玉焼き、今日は「のっけ」で)

実は今回、そば粉(farine de sarrasin)を切らしていたのを忘れていて、急きょ日本の実家から送られてきたそば粉でガレットを作ることになったのですが、いつもよりも繊細で淡白な、クセのない味になりました。日本のそば粉にも一番粉、二番粉、三番粉とありますが、フランスの一般的なそば粉は三番粉に近いのかも知れません。わたしは野性味あふれるフランスのそば粉も大好きです。

さて、デザートのクレープはさんざん迷った結果、一番オーソドックスなバターと砂糖の組み合わせを選びました。クレープの中で溶けたバターと、少しじゃりっとした砂糖の甘い味にほっとするのです。
娘は子どもに大人気のカカオとヘーゼルナッツのペースト(Pâte à tartiner)で。代表的な商品に「ヌテラ」がある、あれです。「Pâte à tartiner」という名前にはカカオもヘーゼルナッツの文字もないのですが、「Pâte à tartiner」と言えばこれだよね、とみんなが了解する大定番です。

太陽色のクレープと大地色のガレットでお祝いした今年のシャンドラー。
今年も実り豊かな年になりますように。